2010年02月22日

白い犬

 
 
 我が家のKY嬢こと、ないないですら、この事実を隠蔽していた。



 おばあちゃんに内緒で、おばあちゃんのために犬を買って、あげよう(飼わせよう)という企画。


 ここまで読んで、随分、傍若無人な家族と思っただろう。
 勝手にひとつの命を金で交換して、さらにそれを自己責任で世話するのではなく、82歳の老婆の一人暮らしの家に渡すのだ。


 何かの世話をしたり、誰かの支えとなることは、ボケを防ぐ。
 

 ペットショップへ週一で通った。
 犬を、言葉のとおり、舐めるように見た。



 うるうるした目と野球ボールのような後頭部がかわいいチワワ。

 ふわふわの巻き毛と、濃い黒目で従順に見つめてくるトイプードル。

 透けるような金色の睫毛、柔らかくてころんとした体のゴールデンレトリバー。

 暴れっぷりが半端ない、スリムなミニチュアピンシャ。

 ほかにも、ジャックラッセルテリア、マルチーズ、イタリアングレーハウンドドッグやら、いろいろ迷った結果。


 白いポメラニアンになった。

 また、おばあちゃんの家の居間に犬用のケージを囲う。
 中にトイレコーナーと、水飲み場、少し離れて寝床を作る。



 私が深夜23時に帰宅すると、ひゃっという顔で仔犬は起きた。
 まだ名前がない。
 
 おばあちゃんも起きてきた。
 「ないないちゃん、帰ってきたん」
 
 「うん。犬、見たくて(笑」

 「おばあちゃん、はように寝たし、あったかいから、ないないちゃん、おばあちゃんのベッドで寝ぇ」


 いやいや、気を使うにもほどがあるよ。
 いいよーー(泣。


 売り上げが悪い理由をメールで謝罪、アクションプランを記入して返信した。もう、何を書いたのか、覚えていない。30人近い営業のおっさんたちに全返信しないといけなかったから、全員、ないないの基地外っぷりに、深夜目が点になったんだろうな。
 お風呂に入って、ドライヤーで髪を乾かす。


 仔犬がきゃんきゃん鳴き出した。
 あ、ドライヤーの音が怖いんだ。


 おばあちゃんが、私に二階に上がるように促した。

 「ドライヤーの音が怖いんやなぁ」

 「犬って、ドライヤー嫌いやなー」と私。

 「さ、布団かけたるから、みーくちゃん、ちゃうわ、名前ないけど、みーくちゃんしか言えへん、寝ぇ」


 前に死んだ犬の名前が、会話の中で、自然に出てきて、おかしかった。

 私が居間で髪を乾かすのも、おばあちゃんが深夜に起き出して喚く犬を寝かし付けるのも、いつものことだが、この犬はミルクじゃぁないんだな。


 みーくちゃんと呼ばれた名無しの子犬は、すぐに寝付いたらしい。
 
 
 
 
posted by nainai at 10:00| 奈良 | Comment(0) | TrackBack(0) | おばあちゃん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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