2011年05月14日

暗闇徘徊





浦沢直樹の漫画の、読み応えったらない。
今は数年ぶりにモンスターを読んでいる。




5巻を読み終えたくらいだっただろうか。
階下でドンという鈍い音、私の体は硬直した。
家族は全員旅行中、私は実家で1人お留守番だった。



可能性があるとすれば、チロだ。
多分、扉にぶつかったのだろう。
階段を足早に降りるとチロがいた。
千鳥足でヨタヨタと歩いているのは下肢が弱り切っているからだ。


鼻と口から黄色がかった粘ついた体液をダラダラ流しながら、痰が絡んで辛いのだろう。
老いて痩せ細った犬が静まり返った台所でフラフラと歩き回り、喉を突っ返させながら、身体をひねっては嗚咽をあげる。




息がちゃんとで来ているのだろうか。
チロ!と叫び駆け寄った。のたうち回る老犬が床を引っ掻く爪音が痛々しく騒々しかった。


こんなに辛くて、息をするのも満足に出来ないなんて、私は留守番で数年ぶりに実家に一泊するまで知らなかった。
さらにこのあとチロの深夜徘徊は数時間続き、6時になって、物音がなくなった。


チロの痴呆に気づかなかった自分の無頓着さと老犬を両親に任せてきたこの数年間に対する後ろめたさ、何より弱り切った犬の姿を眺め続けた辛さ、色んな気持ちに押しつぶされそうで、多分、二、三回潰れつつ、私は眠った。




痴呆だから、私のこともわからないだろう。
自分のこともわからないだろう。
でも、あの凄惨過ぎる有様から鑑みれる苦痛と死の恐怖も、実はよくわからないとすれば、痴呆は優しい。

病は何故あるのか。
何故、ボケるのか。


わからないけど、いいかなと思った。
posted by nainai at 10:01| 奈良 | Comment(0) | TrackBack(0) | 痴呆と闘う気はない | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/200952583

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。