2012年07月27日

私の家にある絵本




私の家には絵本がある。
どちらかというと文章のほうが多いので、お母さんが子供に読み聞かせる絵本というより小学生が読む児童書の類かもしれない。




タイトルはクマの子ウーフという。
もしかしたら、この記事、前にも書いたかもしれないな。
それだったら、ごめんね。
私はその本が大好きで読みふけっていたわけではない。
文章も幼い私には多過ぎて通して読んだこともない。
だから、どんなお話かなんて知らない。
でもよくぱらぱらとめくっては眺めていた。
挿絵の絵はクロッキーで線を引っ張ったような絵で、素朴な可愛らしいものだった。
その絵が格別好きだったわけでもない。
その絵には一枚一枚色が塗られていた。
元々の印刷ではなく、手描きの色鉛筆で丁寧にウーフの洋服や植物や風景が彩られていた。


中にはウーフが釣り上げた魚に赤青黄色と色んな色を塗り重ねて、虹色の魚にしているものもあった。


母が塗ったのだろうと、思っていた。

なんで?て、生まれてくる私たち兄弟のために大きいお腹で色を塗って、待ちわびていたのだろうと。
だって、小さい子供ならお母さんが自分たちがどれだけ大事にされているか感じているから。



ある日、これは誰が塗ったのか母にたずねたのだ。
母は、これはお父さんが色を塗ってお母さんにくれたものだと教えてくれた。
私はびっくりしてしまった。



お父さんが?
色鉛筆をふんだんに使って?
こんな可愛らしい絵本を選んで?
父は母と出会った時には既に社会人で、私たちが生まれてからも休みは週に一回木曜日だけという人で、木曜日は趣味のテニスに朝から出掛けるような人だったし、昼過ぎからはパチンコに出掛けて夕方に帰ってきて早めの晩酌を楽しむ、どこにでもいるような普通のサラリーマンだった。



父は母を大切に思ってこれを贈ったに違いない。
虹色の魚を丁寧に仕上げている父の姿は私の父親のイメージとは今でもかけ離れていて、虚構じみている。
父が母のために、仕事が終わってからの時間や休みを費やして作った色鉛筆塗りウーフの本のことを時々思い出す。


私も働くようになり、色んな人と出会い、色んな経験をしたが、父ほどの人はいなかった。




私自身、手作りのクッキーやチョコを彼氏にあげることはあってもこんなことを人にしてあげようと思ったことはなかった。


多分、私の中で、結婚観というのはクマの子ウーフの絵本に丁寧に色を載せて、それを贈ってあげたくなるような女の子と、そんな優しい男の人が結ばれるのだという、暗黙の大前提がある。


私はもう29歳で、とてもじゃないが、そんな大層なものを頂戴できるほどの女ではない。
周りの人は皆優しいので、まだまだ大丈夫と、諦めるなというが、私はクマの子ウーフの本に色をつけて贈ってくれるような人じゃないとやだな、そうそれぐらい大事に思ってくれる人じゃないとやだな、と思っているのだ。



そうなってくると、高望み過ぎて、泣けてくるなと思う。



それにしても、嘘みたいな話ですよね。

私にもそんな人が現れたら、
ひゃほいきたこれ!となるとは思うのですが。

posted by nainai at 00:18| 奈良 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | その言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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