2011年11月04日

自宅療養の日々




チロとミルクは病気で片時も目を離せない状態だから。



家族で外食しようという提案に母が言葉を濁らせる。
私は家族の中でもはみでものだったから、喜んで犬の面倒見という留守番役を買って出た。




やせ細ってガリガリのチロは、片目を引きつらせて片足を無様に吊り上げて横になっていた。
ミルクの腫瘍は大きくなり過ぎて、はでて白いザクロの実のように腹部の肉を晒していた。





朝目が覚めてきづいた。

どっちも死んでしまったんだったな。




これがあれだな、肉体は死んでもずっと心の中に生き続けるってやつやな。
最近、ブログの記事歯切れ悪すぎるけど、あれだからね、こういう感じでいくって決めたわけじゃないけどもう路線変更出来ないよね。
posted by nainai at 23:36| 奈良 ☀| Comment(3) | TrackBack(0) | 痴呆と闘う気はない | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月25日

暇になった




介護疲れという言葉の意味を実感できた数週間だった。

雑種犬だから、少しでも引き延ばせると思っていたが衰弱甚だしくチロはおよそ18年で死んだ。



暇になってしまった。
なんだかとってもやり残したことがいっぱいある。




もっともっと可愛いがっていればよかった。


写真の枚数も、これからチロがいないというのを前提として閲覧するにはあまりにも枚数が少な過ぎる。




介護だってもっとできたことがあるはずだ。
歩行補助のハーネスを買うなり作るなり、抱っこをして散歩に連れて行ったり、もっと病院に連れて行ったり、できていたはずなのに。




自分の不足していた部分ばかりが浮き彫りになって、後悔ばかりしてしまう。


posted by nainai at 10:15| 奈良 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 痴呆と闘う気はない | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月08日

死んでしまうことについて




僕が神様じゃなくて良かった。

僕が神様じゃなくて良かった。



君はのろまな僕に気付かず、駿馬のように駆け抜けて行った。

君はグズグズ生きる僕に気付かず、自由気ままに生きていた。


僕の劣等感も焦燥感も、僕の抱え込んだ全ての悩みは、君にはくだらなくて、存在してないに等しかった。


僕が神様じゃなくて良かった。


君の体は朽ちていた。
君はもう走ることはおろか歩くこともままならない。

痩せ細った足の筋を撫でても気付かない。


僕が神様じゃなくて良かった。


僕の悲しみなぞ、わかろうはずもなかった君の目が弱りきって濡れている。

君は痛みに声を上げることさえしなくなっていた。


僕がもし神様なら、若く自由な君が少しずつ古びていって、ぼんやりと死に近づいて行くことを許すことはなかっただろう。

病に伏して、もがき苦しむ君をけして死なせはしないだろう。



君の鼓動が確かにある、それが嬉しくて、瘠せて老いて、薄汚れてゆく君をけして死なせはしないだろう。


僅かな力を振り絞って息を吸って吐くだけで君は精一杯で、もう今にも次の呼吸をやめそうなのに、僕はそんな君をけして死なせはしないだろう。


生きていてくれているだけでいい。



傲慢で一人ぼっちの僕が君を手放すわけがない。
僕が神様なら、君を手放すことはしない。
僕が神様なら、歩けなくても声も出なくても、もう自らが何者かも分からず何も欲することもない君でも、延々と生き続けるように奇跡を振舞ったはずだ。


でも、僕が神様じゃなくてよかった。
僕がちっぽけな人間でよかった。


君は幾分もしないうちに、生きることをやめるだろう。
首をもたげて僕の肩に頬をすりつける君は、その小さな頭蓋すら重くて仕方ないのだから。
最後に肺に溜まった呼気は鼻からするりと抜けて、そうして神様は古びた抜け殻のような君の身体は捨て去り、君の魂だけ向こう側に持っていく。
君は向こう側の世界でやはり何もなかったように自由気ままに走りはしゃぎ回るだろう。
驚くほど身体が軽くて、生前は喉につっかえた水が流れるように喉を伝い腹にたまり身体を潤してくれるだろう。






僕が神様じゃなくてよかった。
冷たく硬く、老いさらばえて、汚いボロ雑巾のような君の亡骸を抱き締めて、僕はそう思うに違いない。
神様には持って行くことが出来ない君の亡骸を僕は存分に抱き締めて泣くだろう。

緩みきった口元から覗く、黄色く痛んだ歯。
白く濁って何も見ることがない目。
背骨ひとつひとつの丸みがよく分かる身体はいびつで、瘠せた四肢はだらりと僕の両腕からこぼれる。


別れ難い君との離別を嘆くことが出来るのも、枯れることもなく泣くことが出来るのも僕がちっぽけな人間だから。


僕が神様じゃなくてよかった。
僕がちっぽけな人間でよかった。
僕が弱くて卑怯でみすぼらしい人間でよかった。
君の命が少しでも永らえてくれることこそが有難く、この世に今君が生きていることこそが素晴らしく、そして君が何ものにも変え難いことを知ることが出来たから。



でも、僕はちっぽけで、さらに愚かな人間だから、まだ少しだけもう少しだけと君が生き続けることを祈っているんだ。
posted by nainai at 23:15| 奈良 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 痴呆と闘う気はない | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月18日

気付かない知らない




チロを抱え上げた時、ぞっとするほど大きな腫瘍が出来ていることに気付いた。


私は一ヶ月に一度家に帰るか帰らないかで、チロを構うことすらなかった。



老犬介護に関するページや犬の病気のページを漁り出したのは、グレープフルーツ半玉分くらいの腫瘍の感触が怖かったからだ。


あの異常な膨らみに名前をつけないと、病名を知りたいと思った。


たぶん、乳腺腫瘍だと思う。
ミルクの症状に近い。


飼っている犬が二匹とも大きな腫瘍に見舞われるとは思っても見なかった。
これが、自分だけは大丈夫!という根拠のない自信から来る想像力の欠如ってやつなのかな。



去勢手術を初めての発情が来る前に行っておけば、乳腺腫瘍の発生率は劇的に下がる。



去勢手術なんて人間のエゴだと思っていた。
メスを入れずに動物を飼いたいと思っていた。
動物を飼う時点でエゴなのだが。
手術を行うことに対して、このようなメリットがあることも知らなかった。



私が正しい知識を持っていて犬を飼っていれば、めぼしい病気は防げたはずだ。

私が残業続きでへとへとになって、人間関係をうまく気付けずメソメソせず、もっとチロの体調管理をしていれば、病気は気付けたはずだ。




知らないのは罪だ。
気付かないのは悪いことだ。



蓄えがないのも、いざという時に長期休暇が取れるような仕事につかなかったのも私だ。
posted by nainai at 03:45| 奈良 ☀| Comment(4) | TrackBack(0) | 痴呆と闘う気はない | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月17日

歩行補助





近所の河原にチロを連れて行った。


腹部を覆うようにタオルをあてて、タオルの両端を持ち腹部をやや釣り上げる感じで持ち上げる。


後ろ足の筋力が落ちていて、おしっこをする時ふらついたりしゃがんだりしてしまう。


タオルを使ったら上手に出来た。
あとは、これを両親にも使ってもらえるようにしないと。
posted by nainai at 09:35| 奈良 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 痴呆と闘う気はない | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月14日

暗闇徘徊





浦沢直樹の漫画の、読み応えったらない。
今は数年ぶりにモンスターを読んでいる。




5巻を読み終えたくらいだっただろうか。
階下でドンという鈍い音、私の体は硬直した。
家族は全員旅行中、私は実家で1人お留守番だった。



可能性があるとすれば、チロだ。
多分、扉にぶつかったのだろう。
階段を足早に降りるとチロがいた。
千鳥足でヨタヨタと歩いているのは下肢が弱り切っているからだ。


鼻と口から黄色がかった粘ついた体液をダラダラ流しながら、痰が絡んで辛いのだろう。
老いて痩せ細った犬が静まり返った台所でフラフラと歩き回り、喉を突っ返させながら、身体をひねっては嗚咽をあげる。




息がちゃんとで来ているのだろうか。
チロ!と叫び駆け寄った。のたうち回る老犬が床を引っ掻く爪音が痛々しく騒々しかった。


こんなに辛くて、息をするのも満足に出来ないなんて、私は留守番で数年ぶりに実家に一泊するまで知らなかった。
さらにこのあとチロの深夜徘徊は数時間続き、6時になって、物音がなくなった。


チロの痴呆に気づかなかった自分の無頓着さと老犬を両親に任せてきたこの数年間に対する後ろめたさ、何より弱り切った犬の姿を眺め続けた辛さ、色んな気持ちに押しつぶされそうで、多分、二、三回潰れつつ、私は眠った。




痴呆だから、私のこともわからないだろう。
自分のこともわからないだろう。
でも、あの凄惨過ぎる有様から鑑みれる苦痛と死の恐怖も、実はよくわからないとすれば、痴呆は優しい。

病は何故あるのか。
何故、ボケるのか。


わからないけど、いいかなと思った。
posted by nainai at 10:01| 奈良 | Comment(0) | TrackBack(0) | 痴呆と闘う気はない | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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